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ヘルペスウィルス説について

ここでは、メニエール病の原因の一つとして知られる仮説、ヘルペスウィルス説について説明します。

リンパ液の量とヘルペスがメニエール病に関係

メニエール病の原因は、内耳の中にある内リンパ液の増えすぎです。
では、なぜ内リンパ液が増えすぎるのかというと、実は、明確な原因はわかっていません。可能性の問題として考えられているのが、次の2つです。

(1)内リンパ嚢の発育不全
(2)内リンパ嚢の線維化

先天的な理由で、体の特定の部位に発育不全が見られることは、よくあることです。
したがって、(1)の理由は、ありうることでしょう。

しかし、メニエール病患者の多くに、この発育不全が見られない現状、多くの場合は、(2)を疑うことになります。
では、なぜ線維化が起こるのかというと、実はまだ解明されていません。
学会で提唱されるものについては、いまだ仮説の域を出ていないのが実情です。
少なくとも、先天的要因で線維化が起こることは否定されています。

仮説の域を出ていないにせよ、現在提唱されている主な原因説は、次の2つです。

(1)幼少期の炎症(おたふく、風疹など)
(2)ヘルペスウィルス

幼少期に、おたふく風邪や風疹などといった、強いウィルスに感染した人は、数十年後に、メニエール病に似た症状を発症することがあります。
これらの潜伏ウイルスが、線維化を起こしているのではないか、という仮説です。

また、ヘルペスウィルスがメニエール病の原因ではないか、という説もあります。
この点について詳しく見てみましょう。

※いずれの原因にせよ、日常のストレスが発作を誘発することは知られています。
そのため、メニエール病の原因はストレス、と説明されることもあります。
しかし、厳密に言えば、ストレスは発作の「きっかけ」であり、「原因」ではありません。
このページでは、「原因」のほうを説明しています。

ヘルペスウィルス説の根拠

ヘルペスウィルス説の根拠は、次の2つです。

(1)患者の内リンパ嚢に、ヘルペスを疑わせるDNAが存在する
(2)内耳液に、ヘルペスを疑わせる抗体の上昇が見られる

抗ウィルス剤として有名なゾビラックスが、メニエール病の改善に効果があるとする学説は、基本的にヘルペスウィルス説を根拠としています。

仮にヘルペスウィルス説が正しいと考えた場合は、次のような推論が成り立ちます。

(1)ヘルペスウィルスが内リンパ嚢に潜伏
(2)ストレスなどをきっかけに、内リンパ嚢に潜伏していたヘルペスウィルスが活性化
(3)活性化が繰り返され、徐々に内リンパ嚢は線維化
(内リンパ嚢は前庭神経節と三叉神経と関係がある組織)
(4)前庭神経節と三叉神経が不調になると、めまいなどのメニエール病特有の症状が引き起こされる

以上の推論が、ヘルペスウィルス説の概要です。
しかし、これはヘルペスウィルス説を支持する学者が、数多くの身体的現象から意図的に材料を取捨選択して導き出した説、とも言われています。
取捨選択すれば、反対説を唱える人の説においても、同じように明快な理論を作ることができます。

結局のところ、メニエール病の根本的原因は、未解明のままです。
メニエール病は、発作が起こらなければ、なんら問題はありません。
現実的には、その原因が何であるかというよりも、発作が起こらないよう、バランスよく栄養補給することをこころがけ、日常的にストレスや疲労をため込まないことが大事と言えるでしょう。

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