メニエール病と突発性難聴との違いを説明します。
メニエール病と突発性難聴は、一部の症状が似ています。
突然、発作的に耳が聞こえなくなるという点です。
突発的な難聴が初めてという人が病院を訪れると、医師の側でも、その原因がメニエール病なのか、突発性難聴なのか、区別がつきません。
様々な検査を経て、どちらの病気なのかを特定します。
メニエール病は、別のページでも説明している通り、発作が起こると最初にめまいが起こり、その後に難聴が起こります。
立っていられないほどのめまいと言われ、この発作は短い場合でも10分程度、長い場合だと数時間続きます。
内リンパ液が増えすぎているという点がメニエール病患者の共通点ですが、なぜそれが増えすぎるのかという点については、現在のところ、分かっていません。
薬剤での治療も試みられていますが、手術を行って治療する人も少なくありません。
患者数は、若い女性に比較的多く、中には発作を恐れて社会生活に支障をきたしている人も。
現在でも、早期に発見できれば症状を緩和できますが、慢性期に入ってしまった場合の完治は難しいとされています。
一日も早い原因の特定と治療法の確立が望まれています。
一方、突発性難聴とは、文字通り、突然耳が聞こえなくなる病気です。片側の耳が聞こえなくなります。
症状が徐々に悪化したり、日によって聞こえ方が違ったり、ということはありません。突然聞こえなくなって、あとはそのままです。
発症した人のうち約3割が、めまいを体験します。そのため、初期段階では、メニエール病との区別が難しいとされます。
また、発症の引き金となるのは、ストレスや疲労の蓄積という点も、メニエール病とよく似ています。
早期の治療、特に発症から2週間以内の治療によって、患者の約3分の1が完治すると言われています。
また、3分の1の患者は症状が緩和され、残り3分の1は症状が改善されません。
年齢が若いほど、完治の可能性は高くなります。
突発性難聴の原因は、ウイルス感染説などが有力です。
メニエール病に比べると、原因は解明されつつあり、患者の症状に合わせて、ステロイドや血管拡張剤などで投薬治療を行います。
治療が遅れると、たとえ若くても完治は難しくなるので、突然、理由も分からず耳が聞こえなくなったという場合には、すぐに病院で診察を受けましょう。
突発性難聴は、突然聴力の低下がおきる病気。朝起きた時や移動した時などに、急に聴力の低下が起きるので、本人には聞こえづらくなる瞬間がはっきりとわかるそうです。
「まったく聞こえない」「なんとなく聞こえづらい」というように、聴力の低下は人によって差がありますが、片耳だけ聞こえにくくなるのが共通の症状。突発性難聴には前兆があり、大きく5つ挙げられます。
突発性難聴が原因で起きるめまいは、「回転性」と呼ばれるグルグルとしためまいです。これらの前兆があり、急に音が聞こえづらくなった方は、突発性難聴の可能性があります。
突発性難聴の原因は、いまだはっきりと解明されていません。いくつかの仮説の中で有力な説を紹介します。
突発性難聴を発症する前に風邪・おたふくになっていた人が多いことから立てられた仮説です。突発性難聴は一度発症したら再発しません。ウイルスによる風邪・おたふくも、一度免疫が作られると再発しないことから、この説が有力だと考えられています。
突発性難聴の治療方法で、血液循環を良くする薬剤が有効と報告されていることから立てられた仮説。聴覚を司る器官の血行が悪くなると、神経細胞の栄養が足りなくなり、聴覚の低下が引き起こされるという説です。血液循環が悪くなる理由として、心労・睡眠不足による過度のストレスや、心臓病・動脈硬化・糖尿病・高血圧などの病気が挙げられます。
2001年の調査では、全国で年間35,000人の人がかかっている突発性難聴。人口100万人に対する数値に計算しなおすと275人になります。
以前は40代から50代の女性に多く見られる病気でしたが、最近は、10代や20代、男性の患者も増加傾向。また近年では、芸能人による突発性難聴のカミングアウトもあり、病気の認知度が上昇したため、今後さらに患者数が増えると予想されます。
厚生労働省による突発性難聴の診断基準は、以下のようになっています。
突発性難聴の診断は、「ある瞬間から難聴になった」という自覚症状があれば診察は容易です。耳鼻咽喉科で耳の視診検査を行い、厚生労働省の診断基準にのっとり診断します。
突発性難聴は、症状・病態が似ている「外リンパ瘻」や「聴神経腫瘍」などの病気があるので、しっかりと問診を行ったうえで診断されます。
突発性難聴の治療は、内服や点滴で、内耳の炎症を抑えるステロイド(副腎皮質ホルモン)の薬物治療が一般的です。
これと同時に、血管を拡張して内耳の血液循環を良くする「血管拡張薬」・血液の流動性を高めて血流を良くする「血液粘度低下薬」・末梢神経の障害を改善する「ビタミン薬」などを合わせて投与します。
原因がはっきりと解明されていないため、直接病気の元を断つ治療法は見つかっていません。現在は、内耳の血液循環を良くし、栄養を与えて活性化させることで、突発性難聴の治療を行っています。治療期間は、1週間~1ヶ月ほどです。
突発性難聴が完治する・以前の聴力まで回復するケースは約3割だと言われています。突発性難聴が発症した人の約7割は、ある程度改善する、もしくは変化がありません。
初期症状が軽いほど、治療によっては完治する可能性が高いですが、症状が改善しないことも多くあります。そのため症状が軽くても、早めの治療が大切です。
完治しなかった場合は、聴力障害や耳鳴りなどの後遺症が残ることも。その場合は、補聴器を使うという選択肢があります。