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蝸牛型メニエール病

発症年齢は30歳代後半から40歳代前半がピークと言われるメニエール病ですが、高齢になってもこの病気で悩んでいる方は多いのが現状。難聴や耳鳴りが主な症状である蝸牛型メニエール病の症状、原因、治療方法をについて説明しています。

蝸牛型メニエール病の症状

蝸牛型メニエール病の特徴的な症状は、キーンとした音が聞こえる耳鳴りと、人の話し声の周波数よりも低い周波数がはっきりと聞き取りにくくなる低音難聴です。さらに耳が詰まったような感じがしたり、音が歪んで聞こえることもあり、状態がよくなっても再発を繰り返すことが多いようです。

蝸牛の不調が原因で低音域がよく聞こえなくなる低音障害型感音難聴と症状が似ているので、しばしば間違えられることもあります。

蝸牛型メニエール病の場合、メニエール病特有の激しい回転性のめまいを起こすことはほとんどないので比較的軽症といえます。ただし、そのまま放置していると症状が悪化し、耳鳴りや難聴が進んで高度難聴になる場合もあるので、放置せずに耳鼻科の診察をうけてください。

原因

内耳の中にある「蝸牛(かぎゅう)」という感覚器官は、とても複雑な仕組みを持っていますが、この「蝸牛」にリンパ液が溜まって水腫ができてしまうことによって音の信号が歪み、低音の音波がこもった音になり、逆に高音は突き抜けた不快な音に感じるようになります。

蝸牛型メニエール病はメニエール病の前段階と呼ばれますが、治療をせずに放っておくと発作が慢性化して症状も重くなっていきます。

吐き気やめまいを伴う一般型メニエール病まで進行してしまうと、長い時間をかけて治していくしかありませんし、完治も難しくなります。軽いうちほど早く良くなるので、蝸牛型のうちにできるだけ早く医師の診察を受けましょう。

治療方法

治療には一般的メニエール病と同様に、まず外界の刺激をシャットアウトして安静にし、耳鼻科から処方された内服薬を服用します。

オーソドックスな治療薬としては「イソバイド」がありますが、その他に内耳の血液循環改善薬が処方されます。ストレスが原因である場合には、精神安定剤が処方されることがあります。

蝸牛型メニエール病の症例

症例1

  • 性別…女性
  • 年齢…25歳
  • 主に訴えられた症状…左難聴

平成7年1月末頃より何となく聞こえが悪く,またフワーッとした感じのめまい感があった.左耳鳴(ゴーッ)も続いていた.2月27日に回転性めまい出現.自覚的に聞こえは変わらず.初診時、左側に低音障害型の感音性難聴を認めた.また,フレンツエル眼鏡下に右向き自発眼振をみとめた.イソソルビド90ml/日,他の内服治療にてめまいは軽快,聴力も除々に回復した.途中,軽いめまいが一度あったが,すぐに消失.9ケ月後には聴力は完全に正常に復し,治療を打ち切った.平成10年3月20日,左耳鳴,左難聴にて再診した.今回はめまいの自覚はなかった.再診時の聴力はやはり低音障害型の感音性難聴であった.フレンツエル眼鏡下,ENG 記録下,いずれにおいても自発眼振・頭位眼振などは認められなかった.イソソルビド90ml/日から内服開始.途中,一時聴力の悪化を認めたが徐々に回復.現在ほぼ正常に復し,なお経過観察中である.

白戸勝(白戸耳鼻咽喉科めまいクリニック)「蝸牛症状を主体としたメニエール病症例」1~2')

症例2

  • 性別…女性
  • 年齢…49歳
  • 主に訴えられた症状…左耳鳴り

平成7年9月中旬より左耳鳴(ブーン)が出現.また,今朝クラッとする軽いめまいがあった.6~7年前の健康診断で左難聴を指摘されたことがある.また,年に何回か左耳鳴を自覚することはあったが,気にとめずにいた.初診時聴力は水平型,やや低音障害が強い感音性難聴であった.ENG記録下,右向き自発眼振を認めた.めまいは初診時に訴えたが,以後しばらくはなかった.しかし,最初の頃の聴力変動は激しく,本人の自覚でも日内でも時間帯によって聞こえが良くなったり悪くなったりするということであった.聴力の最大悪化時は約40週頃で,この時は軽いめまいを訴えた.その後,聴力は比較的落ち着いていたが,70~100週にかけて再び聴力が悪化,この時はめまいも何回か出現していた時期であった.以後は次第に落ち着いているが聴力は若干低下したまま経過している.全経過3年以上にもわたっている.最大悪化時と回復時の聴力変動は低音部で約50dBであった.

白戸勝(白戸耳鼻咽喉科めまいクリニック)「蝸牛症状を主体としたメニエール病症例」3~4

症例3

  • 性別…女性
  • 年齢…32
  • 主に訴えられた症状…右聴覚過敏

平成9年7月初旬より時々,自分が回る感じのめまいが出現していたが,寝込むほどではなかった.8月12日頃より他人の声,自分の声が右耳に異常に響いて聞こえるようになった.徐々に増強している感じがあり当科初診した.初診時,低音障害型の感音性難聴を認めた.また,ENG記録下に左向き自発眼振を認めた.めまいは途中一度だけ軽いふらふら感を訴えたのみである.聴力は最初のうちは,多少の変動はあるもののあまり変化がなかったが,28週過ぎから回復傾向を示し,34週には一旦正常に復した.しかし,その後,めまいの出現なしに再び悪化した.以 後は徐々に回復し,現在は正常近くにもどっている.治療はイソソルビド内服90~60ml/日を聴力変動に応じて投与し,聴力が落ち着いた54週から内服を中止して経過観察中である.聴力の最大悪化時と回復時の差は低音部で約50dBであった.

白戸勝(白戸耳鼻咽喉科めまいクリニック)「蝸牛症状を主体としたメニエール病症例」2~3

症例4

  • 性別…男性
  • 年齢…43歳
  • 主に訴えられた症状…左耳鳴り

2週間前から耳に水が入ったような,ボワーッとした感じの左耳鳴が出現してきた.こちらから問いただすと,軽いフワーッとするめまいがあるという.2年前に同様の左耳鳴と回転性めまいが出現し,1週間ほどで良くなった.初診時,左側の低音障害型感音性難聴を認めた.ENG記録下,右向き自発眼振を認めた.26 週まで軽いめまいを3回ほど訴えたが,聴力変動と一致するものではなかった.それ以後はめまいは訴えず,聴力変動のみを繰り返し,全体としては悪化の傾向にある.最も聴力が悪かった83週に点滴静注でハイドロコーチゾン600mg/日からの漸減療法を 2週間行ったが効果はみられなかった.悪化時と回復時の変動幅は低音部で約50dBであった.

白戸勝(白戸耳鼻咽喉科めまいクリニック)「蝸牛症状を主体としたメニエール病症例」4
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