胃腸が弱い方や高齢者などに適した漢方薬「香蘇散(コウソサン)」について、効能、副作用、使用上の注意などをまとめています。
香蘇散は風邪のひき始めに用いられる漢方で、胃腸が弱い方や高齢者、妊婦などに向いている薬剤です。
頭痛・発熱・めまいなどの症状を緩和する作用があります。また、血行が悪いときの肩こりや耳鳴りの改善にも効果的です。香蘇散は神経質な方が摂る漢方としても適しており、ストレスや気うつからくる症状に効くことがわかっています。
香蘇散を摂取することで、カリウムの排泄が促進され、血中のカリウム量が少なくなることがあります。ただし香蘇散は使用成績の調査を行っていないため、現状では副作用がどのくらいの頻度で起こるか明らかになっていません。
香蘇散の服用で起こる重大な副作用として、偽アルドステロン症とミオパチーがあります。
偽アルドステロン症では低カリウム血症、血圧上昇、むくみなどの症状が発現。低カリウム血症が進むことにより、四肢のけいれんや脱力感などミオパチーの症状が現れます。
成人においては1日7.5gを2~3回に分け、食前または食間に服用します。また、摂取量は年齢や体重、症状によって調整してください。
香蘇散には甘草(カンゾウ)が配合されているため、血清カリウム値や血圧を確認したうえで服用しましょう。異常があった場合はすぐに服用を止めてください。ほかの漢方薬を併用する場合は、含有している生薬が重複していないか気を付けましょう。
香蘇散は漢方の虚弱・気うつを改善するのに適した薬で、気を補い落ち着かせる効果があります。血の道症(女性ホルモンによる心と体の症状)を鎮め、改善してくれます。胃腸のはたらきを良くする作用もあり、胃腸が弱い方にも適している製剤です。
麻黄(マオウ)を含まないため、葛根湯(カッコントウ)などで食欲不振を起こす方も使用できます。
香蘇散は、体質や症状を確認したうえで服用してください。症状や体質の改善が見られない場合は服用を中止しましょう。
ほかの漢方製剤を使用する場合は、使われている生薬に同じものがないか確認してください。また、香蘇散には甘草が含まれているため、血清カリウム値や血圧値の増減に注意し、異常があった場合は継続摂取を止めてください。
香蘇散には特に禁忌が定められていません。ただし、グリチルリチン酸や甘草由来の製剤で偽アルドステロン症・ミオパチーなどの重大な副作用を起こしたことがある場合は、使用を避けてください。
香蘇散はカリウムの排出を促すグリチルリチン酸を含んでいます。そのため、香蘇散のほかにグリチルリチン酸を含む製剤や甘草由来の製剤を使っている方は、血中カリウム値や血圧に注意して服用する必要があります。
生理機能の低下している高齢者は、一般的に作用・副作用が強く現れる可能性があります。そのため、通常の量で使用するのは危険です。服用する場合は医師の指示に従い、摂取量・摂取回数を減らすなどの対応をしてください。
妊娠中に投与した場合の安全性についてはデータが不十分なので、妊婦や産婦、妊娠している可能性が高い方は、治療の効果が副作用を上回る場合のみ服用してください。
授乳婦の方も治療の効果が高い場合だけの使用に留めましょう。